足関節捻挫に対するリハビリテーション、パートⅠ:ケガからの回復に必要なリハビリテーション

足関節捻挫に対するリハビリテーション、パートⅠ:ケガからの回復に必要なリハビリテーション

足関節捻挫のリハビリテーションの流れ

  1. 炎症のコントロール
  2. 関節可動域の改善
  3. 筋力の改善
  4. バランス機能の改善
  5. ランニングの開始

以上の手順でリハビリを進めていきます。

1. 炎症のコントロール

足関節捻挫後は関節可動域、足関節周囲(ふくらはぎ、すね)の筋力、姿勢や動作を把握する感覚が低下すると報告されています。
受傷直後はRICE処置を行います。(打撲や捻挫の応急処置:RICE処置 参照)

2. 関節可動域の改善

足関節の背屈はいくつ可動域(つま先が上を向く)が改善しないと捻挫の再発や足関節の不安定感につながりやすいと言われています。
炎症が落ちついたら徐々に関節可動域(特に背屈可動域)の改善を目的にストレッチングを行います。(ストレッチングについて:下腿三頭筋 参照)

① 足関節背屈可動域のチェック

  • 踵を地面から浮かないようにして、膝を壁につけるまで曲げてつま先と壁の距離を計測します。
  • 左右どちらも計測し差がないか確認しましょう。

② 足関節底屈可動域のチェック

  • 足関節の底屈可動域(つま先が下を向く)は体重をかけない状態でつま先を下に向けて左右差を確認します。

3. 筋力の改善

① ふくらはぎ(腓腹筋)のトレーニング

カーフレイズ

  • 壁に手をついて母趾ぼしの付け根への荷重を意識して、踵かかとを上にあげます。 ふくらはぎが張るようであれば正しく行えています。
    両足→片足と徐々に負荷を上げていきます。
  • 回数は20回×3セットを目安に行います。

※なるべく壁に寄りかかりすぎないように、手は添える程度にしましょう。

② 足関節の外側(腓骨筋ひこつきん)のトレーニング

チューブで抵抗をかけて、つま先を外に開くように足関節を動かします。

  • ふくらはぎの外側に張り感があれば正しく行えています。
  • 回数20回×3セットを目安に行います。

※膝を開かずに足を外に開きましょう。

足趾あしゆびのトレー二ング(タオルギャザー)

チューブで抵抗をかけて、つま先を外に開くように足関節を動かします。

  • タオルを床に敷き、座った状態でタオルを足の指でつかみ少しずつ自分の方にたぐりよせます。
  • 回数は20回×3セットを目安に行います。
  • 座ってできるようになったら、立ってタオルギャザーを行い、強度を上げていきましょう。

※踵は浮かさずに行いましょう。

4. バランス機能の改善

① 足関節の感覚(非荷重)

ボール転がし

  • 壁にボールを押し当てて足裏で前後左右に転がしましょう。
  • ボールを落とさないようにしながら足関節を様々な方向に、動かすのがポイントです。
  • 痛みのない範囲で行いましょう。
  • 1日10分(20秒×20~30セット)程度を目安に行います。

② 足関節の感覚(荷重)

片足立ち

  • ももを膝の高さまで上げて、バランスを取ります。
  • 足を上げた側の骨盤が下がらないように意識しましょう。
  • 慣れてきたら、バランスパッド上や不整地での片足立ちやサッカーのキック動作も取り入れていきましょう。

5. ランニング開始の基準

以下の4つの基準がクリアされればランニングを開始します。

  • 炎症所見が落ち着いている(関節の腫れや熱感がない)
  • 関節可動域が改善している(背屈と底屈の左右差がない)
  • 筋力が改善している(片足カーフレイズや片足のホッピングが痛みなくできる)
  • バランス機能が改善している(片足立ちの左右差がない)

※ランニングは直線かつ低速度より開始しましょう。

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